絹織物白生地の表示:国内製織か海外品か見分け方
2014年2月25日 13時47分着物を誂える時に小紋や色無地などは店頭で品定めをする時に実際に反物を触って見て購入するかどうか決めるものですが、その時に重要なのが反物の製織地ですね。
安価な品は特に国産品なのか海外品なのか気になるところです。
判断基準になるのが反物の端に押してあるハンコなど表示です。
「日本の絹」 「丹後ちりめん」 「浜ちりめん」など製織した地域の精錬工場で検反後の最終にハンコが押されて出荷となり、京都などで染色加工して染め上がりの反物が完成します。
(正真正銘丹後の機屋さんで製織して精錬された国産の生地です)
問題はその表示の見分け方です。上の写真は正真正銘の丹後製織の国産品ですが、下記の写真の表示は100%丹後で織り上げた反物とは限りません。
(この品物は実際は海外(中国)で製織した白生地を丹後で精錬した生地です)
丹後というハンコの文字が入れば全て丹後の機屋さんで織り上げられた品とは限らないのです。他の産地で織り上げられた生地を丹後で精錬加工した物にはこのようなハンコが押されたりします。
?のハンコの表示と?の表示では意味合いも少し変わります。
何故他の織物を丹後の工場で精錬加工するのかという疑問があると思います。
絹製品は織上がりは生機(きばた)の状態で、パリパリになっています。
それを精錬加工で不純物を取り除きあの柔らかな風合いになります。
精錬加工をする工場は近年減少してとても少なくなっています。
主に各織物産地に1件?数件あった精錬工場も本当に少なくなっているのが現状です。
小松・丹後・長浜など国内織物産地には大きな精錬工場がありましたが、現在は小松の精錬工場が無くなり北陸の織物は京都の精錬工場か丹後の精錬工場で加工されています。
丹後の精錬工場で海外品を何故精錬するかというと、海外(主に中国)の精錬は日本に比べ水が精錬に適していないため、不純物が精錬したにも関わらず、まだ付いている可能性があります。
一度精錬すると見た目には綺麗な白生地に見えるのですが、染色した時に濃い色などを染めると染めムラが出たりする可能性があります。
そのため日本の精錬工場で再度精錬することにより染付が良くなり、より綺麗な白生地に生まれ変わります。
海外製織の品は織物としては優れたところがあるのですが、綺麗に染色するのが難しいのです。
それでは国内製織品と海外製織品の見分け方ですが、扱われている店員さんに尋ねるのがいいのですが最近は小売り店の店員さんもそこまで詳しく見分けられる方が少なくなっています。
それでも店員さんには、「この品は日本で織られているのか、海外製品なのか」とはっきり尋ねて調べてもらうのが良いと思います。
キチンと表示されているメーカーの品には必ず品質表示が付いています。
京都の織物卸組合では品質表示を義務付けてあるのですが、組合に所属されていない商社さんの品には表示が無い場合もありますのでご注意ください。
ワタクシども京都wabitasに商品供給していただいてる各メーカーさんでは全て製織地と染色地の表示を義務付けておられ全てにシールが貼ってあります。
製織地:中国 染色地:日本と表示しているシールです。下のハンコは精錬工場の再精錬したことを表すハンコです。
日本の品には、製織地:日本 染色地:日本と表示されています。それと日本で織られた品には精錬工場で【日本の絹】というハンコが押されます。
それでは「海外製織の品が悪い品か?」
そうではありません、今では中国の織物は世界の機屋と言われるほど設備もゆきわたり良い製品が出来ているのも事実です。
過去の粗悪品のために悪いイメージが付いていますが、国産品と変わらない品や同格の織物なら中国品の方が良い品も中にはあるのです。
ですから海外で織り上げた品も、日本の綺麗な水を使い丁寧に精錬することにより、素晴らしい絹織物に仕上がるのです。
その説明があまり一般のお客様にまで伝わらないのが残念です。
海外の品が良くなってきている分、国内で製織された品は良い品だけでは無く糸に拘った織物など安心して誂えることができる品ばかりです。
白生地の産地滋賀県長浜の産地でも一等級など品質の良い品を限定して製織しています。
こちらでは長浜にある精錬工場で加工されています。
着物通販サイト京都では殆どの小紋を国産品で揃えていますが、夏の着物用の絽の小紋や長襦袢の安価な品などは海外製織の生地を使った品を扱っています。(染は100%日本で染めています)
正絹絽の小紋(製織地:中国 染色地:日本 日本で再精錬加工済)
この絽の小紋は600gの上質な織物です。この品のように海外品でも上質な品は着心地も良いです。
丹後で再精錬することにより染付がとても良く綺麗に染めあがっています。
特に絽などは生地がしっかりしていないとダメなので適品だと思います。
国内でも海外でも織に使っている糸は上質な絹糸を使っているので高級品に変わりはありませんが、京都ワビタスでは常に良い素材を使った品を揃え品揃えしていきます。
ということで今回は丹後のハンコが表示されている小紋や色無地など染着尺(反物)の海外製品と国内製品との見分け方でした。