本場琉球南風原花織の名古屋帯
2018年2月16日 17時43分浮き出た柄の立体感ある美しさや多様な織りの技法が特徴の「南風原花織(はえばるはなおり)」の名古屋帯が揃いました。
南風原花織は、沖縄本島の南部にある南風原町で独自に発展した明治時代より伝わる織物です。2017年には、国より伝統工芸品として指定されました。
絣のように、経緯が一本ずつ交互に織り合わせれる織物を平織といいますが、2本、3本と糸をとばして変化をつけた織物を沖縄では「花織」と言います。
南風原花織は、糸を複雑にからみ合わせて模様を立体的に浮かび上がらせる技法で、ヤシラミ花織、クワンクワン織り、タッチリー花織、喜屋武花織、照屋花織 、道屯(ロートン)花織、ハイオ花織など豊富な織り方があり、職人たちが修業を重ねて伝統を受け継いできました。
また色彩が豊かなのも南風原花織の特徴です。
さまざまな色合いの糸を組み合わせて華やかな反物に仕上げます。
糸を染める染料には植物原料である沖縄産の琉球藍・福木・テカチをはじめとする豊富な種類があります。
絣などの平織は、経糸を通す綜絖(そうこう)と呼ばれる器具を2つ使うのが普通ですが、南風原花織では8枚~10枚もの綜絖を順番に操作して図柄を浮かび上がらせます。
それだけ複雑で職人の腕が問われ、たいへんな手間と時間をかけてつくられる織物です。
琉球王朝時代には祭礼時以外に庶民が着用することを禁じていたほど、非常に手が込んだ贅沢な織物でした。
その花織の技法は、明治頃より母から娘へ伝承されたとされ、現在も改良されながら織られています。
第二次世界大戦時中、一度は生産が止まった技術でしたが、生き残った方々の努力により現在も技法が受け継がれて素晴らしい作品を生んでいます。
■道屯手織り(九寸帯)生成りに露草色
↑こちら↓は宮城麻理江さん謹製の九寸名古屋帯です。
道屯(ロートン)織は、平織地の中に部分的に糸を濃くする為、経糸(たていと)を浮かせ織られる両面使用の紋織りです。
■道屯手織り(九寸帯)鉄紺にブルーやグレー
宮城里枝さん謹製の手織り九寸名古屋帯です。
花織の特徴を活かした上品な色使いで織り上げたシンプルな模様のあわせやすい帯です。
こちらは八寸名古屋帯で、伝統工芸士の大城一夫さん謹製の手織りです。
こちらも伝統工芸士の大城一夫さん謹製の手織りで、九寸名古屋帯です。
小紋やお召し、紬などとあわせてコーディネートして戴きたい素敵な帯です。