絣の技:必見、伝統工芸士謹製米琉絣手織り紬
2023年8月5日 7時18分山形県の米沢・白鷹・長井周辺の地域を置賜といい、そこで創られる織物を「置賜紬」と言います。
京都ワビタスでも、白鷹お召や長井紬などの高級織物の逸品を定番品として扱っています。
今回ご紹介する新しい「紬」もその一つで、長井にある長岡織物さんのご主人でもあり、置賜紬の絣の技術を認められ、絣の伝統工芸士として活動されている、長岡正幸氏による「米琉絣」の手織りで織った総絣の逸品物の高級紬です。
全4タイプを織って頂くように発注して、1年以上かけて順番に織り上がってきています。
頼んでいたタイプで最後の4柄目が織り上がり、4タイプ全て揃いました。
最新柄
これぞ誰が見ても絣を織っていると分かる、プレミアムな紬の着尺です。
2022年の5月頃に産地仕入れのため山形県の米沢へ出張した際、この絣の紬を発注することになりました。
其の経緯など説明させてもらいながら、商品をご紹介させて頂きます。
産地仕入れに行くときは、小売り店としてではなく、卸メーカーとして何軒かの機屋さんに行くのですが、白鷹の小松織物さん、長井の長岡織物さんには、必ず寄らせて頂くようにしています。
この時は、主に白鷹に用があったので小松織物さんにだけ行って帰るつもりでしたが、お供をして頂いてるメーカー問屋さんが、「長岡さんも寄ってあげて下さい」と、予定には入ってなかったのに急遽寄ることになりました。
長岡織物さんの商品はとても素晴らしいので、これまで何回も発注してきた分の在庫があることから、何も発注できない状況でした。(ウェブサイトにその商品がございます)
今までは主に綾織の着尺を定番にしてきたのですが、長岡さんは絣の伝統工芸士なので、今回は絣をお願いしてみてはどうか、そんな風に考え方を変えて見ました。
そこで、長岡さんに直接こう言いました。
「長岡さんで、一番難しく、一番高級で、一番絣らしい織物を見せて下さい」
そしたら長岡さんが、
「ここ何年もの間、そのような高難度な最高級の絣の織物を織っていない」と言われるのです。
ここ数年されている絣は、間隔を空けた飛びで入れたりしたものなど、比較的価格を抑えるための仕事ばかりで、「そんな重たい絣の仕事はしていません」ということです。
そして、しばらく考えられてから「ちょっと待って下さい」と言われて、奥から昔やったサンプルブックを出してきて下さいました。
これまでしてこられた沢山の作品の中から、昔はこんな「小絣」を「総柄でやってました」と言われ、見るからに凄そうな絣の作品を見せてくれました。
それは、小絣が反物全体に詰まった総絣の素晴らしいものでした。
着物通販サイト京都wabitasは、古典や伝統工芸を重んじた作品を扱い、リーズナブルな価格設定にして、高級着物を広めることを一つの目的としています。
なので、
この小絣のサンプルを見せて頂いた瞬間に
「これを扱いたい」という想いが沸き上がり、全4タイプを発注することになりました。
長岡さんも、「ここまでの大仕事をするのは、本当に何年ぶりかです」ということで、創っていただけることになりました。
その第一弾で織りあがってきたのが、この米琉絣の手織り紬です。
(第一弾ができたのが、10月末なので5ヶ月近くかかりました)
■ 創作手織り特選絣紬「伝統工芸士の逸品」 ≪長岡正幸謹製:米琉絣≫
遠目に見ても、近くで見ても、絣の良さが伝わってくる作品になっています。
もう1タイプ焦げ茶の「これぞ絣織物」といえる逸品
この次に出来上がってきたのがこちら
これだけの絣を斜めに均等に見せるように織るのは、至難の業ですね。
最後の柄が最も絣らしい十字絣紬です
これら全て正真正銘伝統工芸士謹製なので、経済産業大臣指定伝統的工芸品の証明シールも付いてます。
製作に入られた頃に「絣の現場を見させて欲しい」とお願いしてましたので、再度山形に行って現場を見させてもらいました。
絣の糸創りと、織の現場です。
【絣】
既に印付けは済んでますが、絣入れの現場を見させてもらいました。
糸をこのように張って、柄にあわせて印を付けていきます。
この絣糸で織れば、こんな素晴らしい織物になるのです
絣の多さというか、柄によってはこんな付け方も
絣の作業(手絣)
一本一本手で結んでいくこともできますが、今回のような小絣のように、多く入れる場合は大変なので、専用の機械を使います。
これを染めて絣糸が出来上がります。
ここまでも手間が掛かり、凄く高度な技術と根気のいる作業なのですが、この絣糸を使って織っていくのが、大変なんです。
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上下の絣の糸をあわせるのが、小絣(総柄の絣)は大変だそうです。
実際に見させてもらったら、正に凄く大変なのが分かります。
長岡織物さんの機は、高機や地機のような手織り用の機はなく、画像のように織機を使った手織りです。
表記は「手織り織機」になります。
ここまで総柄で多くの小絣でなかったら、ガシャコン、ガシャコンとリズムよく織れるのが、絣糸を一本一本あわせながらゆっくり織るので、ガシャン・・・・・・・ガシャン・・・・・・・という感じで、少しづつゆっくり慎重に織らなくてはなりません。
紬の糸は真綿なので、尚更大変なようです。
1反分が織り上がるのには、時間と手間が凄く掛かる、伝統的工芸織物とは、そういうモノなのだと、現場を見させて頂いて、凄く感じました。
正に正真正銘の伝統工芸士謹製の逸品ですね。
織り上がってきた反物は素晴らしく、「これぞ絣」
「これぞ紬」
と言える逸品です。
単色なのに小絣の模様が綺麗にも見えますね
着物(長着)に仕上がった時の着姿は、素敵なこと間違いなしです。
昔織った時の見本があったとはいうものの、全てこちらが発注して一から誂えで織って頂きました。
仕上がりはモチロン大満足で、多くの着物ファンの方々を魅了すること間違いなしの、プレミアムな作品です。
置賜紬絣の伝統工芸士:長岡正幸氏謹製「米琉絣の紬」は、京都wabitasの紬コーナーでご覧いただけます。
勿論ウェブサイトだけでなく、京都にあるショールームでも、ご来店頂ければ現品を手に取ってご覧いただくことができます。
関西の呉服屋さんでは、染め物の品揃えは多いようですが、このようにプレミアムな絣の織物があまり無いと聞きます。「紬は関東」というイメージですが、ワビタスのウェブサイト及びショールームには、長岡織物さんの長井紬や、白鷹の小松織物さんの白鷹お召など、山形の織物を多数取り扱っています。
どれも魅力あふれる織物ばかりですが、全てワビタスならではのリーズナブルな価格で揃えております。