2014年3月7日 17時00分

京都wabitasに新しく開設された、単衣着物のコーナーで紹介されている

■?両面染正絹小紋:反物≪訳アリお値打ち品≫

でも取り上げられている、「江戸小紋柄」について、ちょっとした豆知識をご紹介します。

「江戸小紋柄」の技法

型紙を使い生地を染める「型染め」の技法で染められるのがこの江戸小紋柄です。

柿渋を塗った丈夫な紙を刃物で切り抜き、それを布の上に置き、

そして防染のりを置いて型紙をそっと取り上げます。

布の上にはのりが残り、乾燥させた後、染料を刷り込み刷毛(はけ)といわれる筆のようなもので刷り込むようにして染めてゆきます。

あとは布を蒸して、水洗いをし、のりを落として完成です。

「江戸小紋柄」の発祥

江戸小紋の柄の発祥はその名の通り江戸時代に遡ります。

武士が江戸城内で着用する礼装着であった裃(かみしも)に使われたことからこの柄の歴史は始まりました。

本来無地であった裃ですが、徐々に黒や、茶、藍といった渋めの色で細かな小紋柄を染めるようになりました。

江戸時代も中期にさしかかると、武士だけではなく町人たちにも好まれました。

上流階級の衣装に使われていた、小紋の文様に憧れを持つ裕福な町人を中心として衣類に取り入れられました。

ここから、台所の小物や花鳥風月など、暮らしに根付いた柄も小紋の図案として使用されるようになりました。

そして江戸時代の後期には、型紙や型堀りに使われる刃物の加工技術が発達したことから、その精緻さが一層増したといわれています。

「江戸小紋柄」の魅力

近寄って見ないと柄がついているのかどうかわからないほど細かい文様となっている江戸小紋。

細かい柄であればあるほどその型紙を彫ることが難しく、また、染めることも難しいことから、一流の職人でないと取り組めない難しい柄となっています。

基本的には単色と、防染のりを置いて白く上がる柄の部分で構成されています。

色場と白場のコントラストが美しく、この柄を生み出した江戸時代の職人たちの技術力の高さが伺えます。

近年の「江戸小紋柄」

当初は武士のための礼装着だったことから、渋い色合い、黒っぽい色合いのものばかりでした。

最近ではおしゃれのための着物としての一面が注目され、鮮やかで明るい色合いのものも増えてきています。

格式高く、粋な江戸小紋は着物通の方からお着物初心者の方まで、広くお勧めできる一品です。